国内農産物流通業者(米穀類)の事例

  • M社は、主に関東以北の産地の米を取り扱う米穀類の卸売事業者である。米の調達において重視するのは、品質と価格であるが、安全を担保するより効果的な取り組みとして、第三者認証制度のGAPに取り組んでいる産地・生産者を応援している。

1) 組織の概要

  • M社は、米穀類の卸売事業者であり、精米製品を量販店や小売業者等へ販売するとともに、炊飯製品の加工・販売も行っている。年商は約400億円である。主に関東以北の産地の米を取り扱っていて、米の年間取扱量は約10万トン強で一部は炊飯加工品に使用している。
  • 創業して約60年だが、ここ20年近くは、製品の安全・安心確保に向けた取り組みに一層の力を入れている。

2) 原料の調達および商品の販売におけるGAPの位置づけ

  • 米の調達において重視するのは、品質と価格である。安全は必要要件であり市場で付加価値とは見なされていない。ただ、安全を担保する取り組みは必須で、全ての生産者に必要なことであり、そのためより効果的な取り組みとして、第三者認証制度のGAPに取り組んでいる産地・生産者を応援している。
  • M社には、JGAP指導員が6~7名いて、この10年近く、産地に対してGAPに関する情報提供を積極的に行っている。農業者も他の事業者と同様に、①コンプライアンス、②事業(経営)の継続性の2点が重要であり、GAPはこうした2つの目的に適したツールであると考えている。また、農業においても事業継承が話題になっているが、次世代の経営者が継承のためにGAP取り組むならば、GAPは事業継承に役立つと考えられる。